氏神様は太刀八幡宮

1200年の歴史を紐ときます

掛け札の紹介 

f:id:goodlightsato:20220702075205j:image

拝殿の右側に、この掛け札が掛かっています。

神は人の敬を以て威を増し 人は神の徳に依って運に添う

神様は、人の尊敬する気持ちにより、力を増して行きます。そして人は、神様の徳をいただいて、神様と一緒に運命をひらいて行きます。

この言葉は、御成敗式目(西暦1232年)の第1条の一節です。

御成敗式目は、鎌倉時代3代執権北条泰時がまとめたもので、律令を参考に51条からなり、その後長い間武家法の基本とされました。

子供の中学の教科書「見て読んで考えよう!ビジュアル歴史 東京法令出版」に北条泰時消息文として、御成敗式目を作った経緯を紹介しています。

「この式目は、ものの道理を書いたものである。真実よりもその人の勢力の強さによって判決したりすることもあるので、あらかじめ裁判の基準を決めて、公平に裁判できるように、こまかく書いておいたのである。律令に比べれば、多くの人にわかりやすいようにかいてある。」

つまり御成敗とは裁判の基準であり、ものの道理を書いたものなんですね。

教科書には、内容の紹介として第3条と第5条の条文が記載されています。

御成敗式目については、ネット検索をすればたくさん情報がありますが、分かりやすかった「まほろば社会科研究室 中学歴史」から紹介させていただきます。

第1条&第2条 神社や寺院を敬おう

教科書や学習参考書にこの条文はあんまり紹介されないのですが、とても面白い内容なので紹介したいと思います。

一、神社を修理し、祭祀を専らにすべき事
右、神は人の敬ひによつて威を増し、人は神の徳によつて運を添ふ。然れば則ち恒例の祭祀は陵夷りょういを致さず、如在にょざい礼奠れいてんは怠慢せしむるなかれ。これによつて関東御分の国々ならびに庄園に於ては、地頭神主らおのおのその趣を存し、精誠を致すべきなり。兼てまた有封うふの社に至つては、代々の符に任せ、小破の時はかつがつ修理を加へ、もし大破に及び子細を言上せば、その左右さうに随てその沙汰さたあるべし。

御成敗式目貞永式目)第1条

上の条文は第1条ですが、「神社を修理してお祭りを大切にしよう」という内容です。冒頭は「神様は人が尊敬の気持ちを持っているとそのパワーは増します。人は神の徳をいただいて運を開くことができる」という内容です。だから、「神社のお祭りをサボらず、神々へのお供えも怠らずやろう」と書いてあります。さらに、「神社を修理する場合、小さな修理は自分たちで行い、手に負えない大きな修理は幕府に報告をしなさい。幕府が内容を調べた上で判断をします」と述べています。幕府は神社や神事をとても大切にしたのです。

武士のための裁判の基準として制定した御成敗式目の第一条にこういう内容が書かれているのは素晴らしいことですね。幕府は、とても神仏を大切にしていたことが良くわかります。お祭り・お供えも大事だよ。小さな修理は自分たちでやってね。大きい修理は幕府が判断するよ。

この御成敗式目は武士のみならず広く一般の方々にも広まったということからも、神社・仏閣は、武士も一般の方々も、お祭りを行い、供物をし、小さな修理は自ら喜んで参加して行っていったのでしょう。

その心が、この太刀八幡宮にも息づいています。先人達が幾多の困難な出来事があっても、お宮を守り、この土地を守ってきた結果が、今の姿をあらわしています。

 

先人達に感謝します。

そして、私も微力ながら、常に神々を敬い、神様の徳をいただきながら、太刀八幡宮に貢献していきます。