氏神様は太刀八幡宮

1200年の歴史を紐ときます

太刀八幡宮の絵馬 その9 藤原保昌 月下弄笛図

 藤原保昌 月下弄笛図

(ふじはらやすまさ げっかろうてきず)

 

f:id:goodlightsato:20230225125327j:image

奉納 参宮同行

大正7年3月

いろは順として19名の名前が記載されています。

大内田 竹井 浦 丸山 手嶋 平田さんの名前が読み取れます。

どの地区の方々の奉納でしょうか。

 

非常に美しい絵馬で、笛をふく武将の立ち姿の美しさに、惚れ惚れします。

 

つきおかよしとし

月岡芳年 作「藤原保昌月下弄笛図」

 

先日、図書館で「もっと知りたい浮世絵 田辺昌子著 東京美術 2019年12月」を見ていた時、この絵馬の元図であろう浮世絵の紹介が写真とともに記載されていました。

その解説を引用します。

満月のもと、薄(すすき)の生いしげる野を笛を吹きながら悠然と歩む藤原(平井)保昌と、それをねらう袴垂保輔(はかまだれやすすけ)の緊迫感のあるシーン。芳年の傑作としてとして名高い作品で、明治15年秋の「内国絵画共進会」に出品した肉筆画をもとに、版元にすすめられて版画化したものと伝えられている。その隙のない保昌の姿に、結局保輔は襲うことができず従うことになる。難しいシーンであるが、彫摺の素晴らしさもともなって、見事に張りつめた空気を表現している。

 

絵馬師が、浮世絵の題材を参考にしていることが、よくわかりますね

 

以前紹介した、刀剣ワールドさんのホームページにも、標題の浮世絵と解説が記載されています。

www.touken-world-ukiyoe.jp

 

 

藤原保昌(やすまさ)

 

この名前は、以前紹介した絵馬「源頼光 鬼退治(酒吞童子)」の中に出てきました。

日本の鬼の交流博物館のホームページの、酒呑童子伝説を一部引用したものですが、再度引用します。

姫君たちを奪い返し酒呑童子を退治するため大江山へ差し向けられたのが、源頼光(みなものとのよりみつ)を頭に藤原保昌(ふじわらのやすまさ)並びに四天王の面々、坂田公時(さかたのきんとき)、渡辺綱(わたなべのつな)、ト部季武(うらべのすえたけ)、碓井貞光(うすいのさだみつ)ら6名です。

 

ウキペディアによれば、人物として次のように記載されています。

一部引用します。

武勇に秀で、源頼信平維衡平致頼らとともに道長四天王と称された。のちに、道長の薦めもあり女流歌人和泉式部と結婚した。保昌自身も歌人であり、『後拾遺和歌集』に和歌作品1首が採録されている。

中世文学のなかで坂上田村麻呂藤原利仁源頼光とともに中世の伝説的な武人4人組の1人と紹介された。

 

そして、説話の中に次のように記載されています。一部引用します。

今昔物語集』には、以下の話が記されている。 10月朧月の夜に一人で笛を吹いて道を行く者があった。それを見つけた袴垂という盗賊の首領が衣装を奪おうとその者の後をつけたが、どうにも恐ろしく思い手を出すことができなかった。その者こそが保昌で、保昌は逆に袴垂を自らの家に連れ込んで衣を与えたところ、袴垂は慌てて逃げ帰ったという

 

この絵馬は、今昔物語・宇治拾遺物語にある説話の一場面だったのですね。

 

ユーチューブで藤原保昌を検索すると、素晴らしい動画に出会いました。

よろづ萩葉の万葉ちゃんねるさんです。

この物語を、原文も含めて非常に分かりやすく解説しています。

 


www.youtube.com

 

 

月岡芳年

 

日本の美術さんのホームページに、月岡芳年:作品と解説と題して、人物像についても紹介しています。一部引用します。

 

 

月岡芳年(1839-1892)は、最後の浮世絵師と呼ばれる。明治維新は彼が三十歳のときのことであり、その頃に画家として独り立ちしていた芳年は明治二十五年に満五十三歳で死ぬまで日本の浮世絵界をリードしたのであるが、それは浮世絵史の最後の段階にあたっていた。浮世絵は芳年の死とともに長い歴史に幕を閉じたのであって、したがって芳年は最後の浮世絵師と呼ばれてしかるべき存在だったのである。

 

時代の流れ

 

最後の浮世絵師が書いたその代表作の浮世絵が、絵馬となってこの太刀八幡宮に奉納されています。

 

時代の流れというか、移り変わりを感じます。

 

この絵馬が掲げられた当時は、絵馬や浮世絵は大切な娯楽だったと思いますが、今は娯楽の対象は、テレビや映画、テレビゲーム、ユーチューブ等様々です。

 

時代は常に変化していますね。

 

しかし、過去の絵馬を眺めながら、そして色々調べていくと、人間としての学びが深まるということは、人間の本質というのは変わらないということでしょうか。

 

まだまだ学びの旅は、これからも続きます。