8月30日 台風10号🌀は、朝倉市には特に大きな被害をもたらすことなく、通り過ぎました。お隣の大分県は、水害で大きな被害が出ています。
9月1日の朝、参拝に訪れると、参道には落ち葉が有りましたので、竹ぼうきでお掃除させて頂きました。
お掃除後です。
境内を見ると、枝が少し折れている程度でした。
この木(けやき)は、小さな枝がたくさん落ちています。
樹木医さん👨⚕️との出会い
鎮守の森の考察として、とにかく倒木の危険があるなど緊急に対処の必要な事と、時間をかけて検討することを分けて考える必要があると思い、健康診断をして頂く人を探すことにしました。
そして、「樹木医」さんに相談しようと思い、一般社団法人 福岡県樹木医会に電話をしました。
事務局の方に、
「神社の鎮守の森の健康診断をお願いするにはどうしたらいいのか?」
と問い合わせをしたところ、
「費用はかかりますが、診断・治療をすることが出来ます。樹木医の方から連絡を差し上げます。」
ということでした。
すると、早速樹木医さんから電話連絡が来て、急遽太刀八幡宮の森を見て頂くことになりました。家が朝倉市弥永ということで、仕事帰りに寄って頂けるということです。
しかも、無料で見て頂きました。🙇
樹木医の方は、古賀 政範(まさのり)さんです。
うきは市吉井の(有)総合緑化コガキューにお勤めです。
樹木医に加えて、ロープ高所作業特別教育指導者など高い伐採能力をお持ちの方です。
ホームページを見て知ったのですが、樹木医関連の仕事のため日本各地に出かけているようです。
古賀さんは、素人の私にとても丁寧に教えて頂きました。
現地調査の内容を記録していきます。
1.線香林
駐車場横、本殿の東側は細い杉が立ち並んでいます。
いわゆる線香林状態です。
杉の木を大きくするのであれば、間伐が必要です。
2.駐車場から参道入って右にある楠
枝が枯れているのは、楠が日の当たらない場所の枝を、不必要と判断して自ら枯らしているとのこと。
この楠は、頂上部の葉っぱも綺麗で、元気だということです。
楠のみならず、基本的に樹木は光が当たらなくなった枝を自ら枯らすことで、樹勢を保とうとしているようです。
ただし、この枯れ枝が落ちて人に当たると、非常に危険です。
20センチ程度の枝でも真っ直ぐに落ちてくると、ヘルメットを割るほどの衝撃があります。
特に雨が降っている時は,枯れ枝も重たくなっているので要注意です。
3.手水舎横のケヤキ
最初に台風の後小枝が多く落ちていたと紹介したケヤキですが、木としては頂上部の緑も状態が良く、正常とのこと。
このケヤキも、楠同様に不必要と判断した枝は締め付けるようにして枯らしています。
木の根元に集めた落ち葉のことを聞いてみました。
というのは、ホームページで落ち葉を木の根元に集めないでという内容を見つけたからです。
千葉市緑化推進協議会ホームページより転載
一部引用します。
落ち葉を1カ所に堆積させることで、深植え状態になり根が呼吸できず地表からの水も吸収し難くなります。徐々に木は元気を無くして弱り最悪の場合、枯れてしまいます。(写真の桜は枯れてしまいました。)
また、本来は冬の低温で死滅する害虫を越冬させ、木々に悪い影響を与える事も考えられます。
古賀さんから教えて頂いたのは、根張りが隠れていなければ大丈夫とのことです。
根張りとは、土の上に出ている根ですね。肩のような部分です。
次の写真の楠も随分落ち葉がありますが、根張りの部分が現れており、葉も健康で問題ないとのことです。
古賀さんの話を聞いて、「ほっ」と安心しましたが、掃除の都度落ち葉を樹木の根元に集めることは、見直す必要があるかもしれません。
以前、根元に堆積した落ち葉を、軽トラに乗せて南側の斜面(トイレの横付近)に移動していた地域がありましたが、色々検討が必要です。
4.御神木(楠)
参道脇のしめ縄の張られた御神木の楠です。
良く見ると、上部に枯れ枝が見えます。(赤ペンで囲ったところ)
少し弱っているとのことです。
その対策はどうするのかお伺いすると、根が伸びている個所の土壌改良を行うとのことです。
楠の根は、地上部の枝の真下あたりまでは伸びているので、上の写真では電柱付近までは伸びていることになります。
そして、楠の根の上にある狛犬や灯籠そして参道などの構造物が、根に負担をかけているようです。この付近の参道もひび割れしていますので、いつか補修をする時がくるとは思いますが、その際は御神木の根を傷めない工夫が必要でしょう。
5.本殿裏の杉
この杉をみても、本殿側の枝は太陽を求めて緑の葉が生い茂っていますが、反対側は枝がありません。
枯れた細い杉が一本あります。
6、西の参道横にある大楠
ひときわ大きくそびえたつ楠の大木。
古賀さんも感動していました。上部まで真っ直ぐ伸びた美しい楠です。
第二の御神木として、しめ縄を張りたくなります。
7.西の参道横の枯れた杉 2本
見るからに完全に枯れています。
倒木すれば電線に影響がでます。
8.西の参道入り口のムクノキの大木
塞神社の前です。斜面のため根が傾いています。
根元は空洞で反対側が透かして見える状態です。
直根(真下に伸びている根)が腐っています。
その代わりに、板根(板状の根っこ)が発達して木を支えています。
この板根が傷ついて腐らないように注意が必要です。
ムクノキの葉っぱは元気です。
中段には、枯れた太めの枝がありますので、木の下に行く場合は要注意です。
9.荒れた竹林
竹の繫殖により、社務所近くまで侵入しています。
10.子持鳥居前の杉
子持鳥居前の杉はとても立派です。
ところが、参道入り口のコンクリートや石を持ち上げています。
太刀八幡宮のシンボルでもある子持鳥居の景観を守るのか、それとも杉を守るのかいつか選択する時がきます。
仮に杉を伐採するとなったら、重機が入らないので高所作業で小さく杉の上部を切断しながら、倒しても問題ない高さになったら、根元から伐採するという特殊な伐採が必要となります。
11.道路にはみ出た桜の枝
河川工事中、大型ダンプは反対車線を走行していました。
「桜伐る馬鹿梅伐らぬ馬鹿」といいますが、桜の木は樹勢が強く、落葉した後ならば、はみ出た枝を剪定しても、桜は枯れないとのことです。
まとめ
緊急に対処すること
1.枯れ枝の落下に対する注意喚起
神社境内で発生する事故、災害の中でも、樹木の倒木、枝折れに起因するものが34%に上るというデータもあります。
参拝者への事故を防ぐためには、参道上の枯れ枝に対する注意看板が望まれます。
また、総代さん達は、作業のため鎮守の森に入る時は、ヘルメット⛑️の着用が必須になります。
2.枯木の伐採
完全に立ち枯れしている木が10本近くあるのではないでしょうか。
参道に倒れる木から優先順位をつけて、伐採が望まれます。
ただし、総代さん達が自らチェーンソーを使って伐採するのは止めるべきです。
ボランティア保険の対象にならないようです。
(私が総代をしていた時、チェーンソーで木を伐採している方がいましたが、ちょっと危険だなと感じていました。チェーンソーによる伐採作業は、自身の防具の着用も義務付けられていますし、周囲の作業の方の安全確保も必要なので素人がする作業ではありません。)
費用は掛かりますが、業者さんなどプロお任せするのが一番良いと思われます。
時間をかけての検討事項
1.樹木の経過観察
御神木の楠が少し弱っているということなので、定期的な経過観察が必要です。
また、西の参道入り口のムクノキの大木も同様に、特に根の部分の経過観察が必要です。
2.木の根元に落ち葉
毎月の境内清掃の方法になりますが、落ち葉の扱いを検討する必要があります。
落ち葉置き場を別に確保するあるいは、燃やすなどでしょうか。
3.竹林の整備
大晦日の深夜、竹灯篭が参道に置かれ参拝者を出迎えます。
そのための竹は必要ですが、枯れた竹など竹林を乱しているものは除去して、美しい竹林の整備を検討すべきでしょう。
社務所裏にまで竹が侵入しています。まさか社務所の床を突き破ることはあるのでしょうか?
4.道路にはみ出した桜の枝剪定
落葉後、実施。
5.鎮守の森計画の検討
どういう森を次世代に残すのかの検討
例えば線香林のエリアは、どういう森にするかのビジョンによって対策が変わります。
長老が言っていたように、どぶろくを飲んで楽しい花見をするエリアにするとなれば、公園のような整備が必要なのかもしれません。
あるいは、フクロウが住んでいるであろう地域は、極力人が入らない原生林のように保護するとか。
若い人の意見ももらって、将来の太刀八幡宮の森を検討することが必要でしょうね。
整備には、色々費用も掛かりますので、時間をかけて話し合うことが望まれます。
さいごに
今回古賀さんには、夕方の5時から6時半まで、現地調査をしていただきました。
そして古賀さんは、「良い木を見れて良かった。」とおっしゃって下さいました。
本来ならそれ相当のお礼がいるところだと思うのですが、お茶の一本も用意してなくて本当に申し訳ないと思いました。
家に帰って、カミさんに話をすると
「鎮守の森を手入れしていくことが、お礼になるんじゃないの。」
とのお言葉。
太刀八幡宮の神々のお言葉と思って、鎮守の森の考察を進めるとともに、私の出来ることから手入れをしていきたいと思います。
古賀さん、どうもありがとうございました。🙏